練習や試合などで体が疲労している時に弓を引いてもうまくいかない時があって苦しい思いをされたことがあるかたも多いと思います。かくいう筆者も体が疲労している時に全く良いパフォーマンスが出ず如何に対応しようかと長年考えてきました。
今回はそんな筆者の疲労との付き合い方を紹介したいと思います。
【結論】栄養と休養をとる。目標に向けた練習メニューを組む。
疲労の回復には栄養の摂取と休養が必要です。いくら万全の栄養と睡眠をとっていてもオーバーワークをした次の日に試合があった場合、疲れが取れきれずに挑むことになってしまいます。
そのため、試合や晴れの場に向けての練習メニューを考える必要があります。
栄養
体が疲労している時を筋肉の疲労と仮定すると筋肉の使い過ぎによる疲労となります。その場合体の中にあるATP(Adenosine Tri-Phosphate(アデノシン3リン酸))と呼ばれる物質の一部や糖質や脂質が使われた結果栄養が不足している状態を言います。
上記の記事にもありますが、TCAサイクルと呼ばれる栄養素からエネルギーを取り出すサイクルを活性化させることが疲労回復に効果的となります。このサイクルにビタミンBやCといったビタミン群が必要不可欠です。
そのため積極的に栄養を摂取する必要があります。大まかにいうと消費カロリーを上回った形で以下のバランス+ビタミン群を摂取していく必要があります。
たんぱく質:13~20%
脂質:20~30%
炭水化物:50~65%
タンパク質が特に摂取が難しくなってくるので、筆者が心がけているのはプロテインとマルチビタミンの摂取です。最近は練習中にEAAと呼ばれる必須アミノ酸のみが入っているプロテインの一種のものを摂取しています。
プロテインはタンパク質を粉にしたものですので、マルチビタミン同様サプリメント(栄養補助)として考えて良いもので以前は、その存在に懐疑的な方もいらっしゃいましたが、安心して使えるものです。
使用方法としてはマルチビタミンは日常使いとして用法用量に合わせて使いEAAを練習中、プロテインを練習後に使用するといった形です。
練習中は運動をしているのでカロリーを消費する活動をしていることになり、筋肉も含めて消費してしまうので、それを抑制して疲れも軽減してくれるということでEAAを使用しています。
ここで国体などの競技をされる方に注意なのですが、ドーピングに関して認証を取ってあるものを使用することが必要です。これは認証をとっていないから危険という訳ではないのですが、認証が取ってあるものを使用しないとドーピング検査の際に問題となる可能性があるので、注意して使用すると良いと思います。(2022/1/16時点:本記事紹介アイテムは認証取得済)
休養
筋肉の回復には部位によって最大72時間回復に時間がかかると言われる場所もあります。その為、完全に回復させるにはそれだけの期間を開ける必要があります。
ただし、現代弓道ではそこまで強い弓を使わないので1日程度開ければ回復する場合が多いです。年齢によって回復の速度も違いますので、ここはご自分の体に合わせて考えていくと良いと思います。
合わせて重要になってくるのが睡眠時間です。ここでも人によって違いがありますが、概ね7-8時間は睡眠をとるのがベストだと考えられています。
時間を確保すると質を向上させるとより良い回復につながります。筆者はヘルニアを持っているので首に負荷がかかると体の他の部分がこわばってしまい、うまく疲労が取れないことがあるので、マットレスを導入してから睡眠の質が向上しました。
加えて積極的に実施しているのがお風呂です。温冷交代浴という暖かい風呂と冷たい風呂に交互に入るもので暖かい風呂で血管が拡張し冷たい風呂で収縮するという作用を利用して末端の血行不良を解消して血液の巡りを良くすることにより疲労回復を促進するという方法です。
ご家庭では中々出来ないと思われますが、10℃程の差でも効果が得られるということとシャワーによる掛水でも効果が得られるという研究もあるようなので、一度試してみられるとよいと思います。高いリラクゼーション効果も得られることが出来ます。
マッサージも疲労回復に効果的です。筆者は鍼灸師の方や整体師の方など資格を持っている方々の所へ通院して定期的にメンテナンスをしてもらっています。特に競技を理解している施術者であれば、ほぐし過ぎると弓がまともに引けるかどうかという具合も判断出来るので、相談しながらお願いしても良いと思います。
個人的なメンテナンスとしてストレッチを練習後に行うこととアスリートが使用しているマッサージガンを使っています。マッサージガンは日常使いとしてはかなり良いと思います。自分自身が思う場所にあてることが出来、振動で凝っている箇所をほぐすことが出来ます。金額としては高額のものからお手頃のものまでがありますが、筆者はお手頃なものを使っています。(筆者の使っているものが既に販売されていないので、現在のラングNo.1のものを貼っておきます。)
練習メニュー
大学生の場合、日曜に試合があるスケジュールなので、1週間の中で動きを考えると良いと思います。筆者が学生の頃は以下のメニューで練習をしていました。
月曜 OFF or 40射程度の修正
火曜 80射
水曜 80射
木曜 60射
金曜 60射
土曜 40射
日曜 附け矢12射 + 試合20射
試合の無い週は1日に100-200射を引いていましたが、試合がある日は上記のようなスケジュールで練習をしていました。考えとしては試合にピークを持ってこれるように精度を上げていくことと体力を回復することを考えて取り組んでいました。
このメニューは100-200射引ける体力がある人が抑えめに練習をしていると考えて頂いて、社会人であれば平日練習出来ない方もいらっしゃると思うので、土日のみの練習ですと試合や審査の前日は疲れが残る程練習せず、いつもの7-80%の練習量にしてみるなど調整をすると良いと思います。
疲労を有効に使った練習方法
今までは疲労を如何に軽減させるかという観点で説明をしましたが、疲労が残った状態で練習すると良いこともあるという観点もあります。
疲労しているということは筋力がうまく発揮できないということなので、自分の射の弱い点が出やすくなります。その点を認識することが出来、改善につなげていくことが可能になります。
疲労した状態でもうまく引ければ筋力を最小限に使用した効率的な射が出来るようになるということで、練られた状態になると考えられます。
強い弓でも同じ環境が作れると思うので、疲労を恐れず練習に活用しても良いですね。
まとめ
疲労は弓道や運動にはつきものですが、うまく付き合っていくと成長にもつながりますので、弓道を楽しむ要素の一つとして考えていくと良いかもしれませんね。
もし医学や運動生理学などに通じている方で別の意見や考えがある方がいらっしゃいましたら、是非ご意見いただければ幸いです。
あとよく弓道家の中で飲み過ぎた次の日を如何にうまく乗り切るかという話をすることがありますが、飲んだ当日にプロテインとリポビタンDとポカリスエットを飲んでから寝ると次の日の状態が比較的良いというのが私の周辺のメンバーの中での一つの回答です。ご興味あればお試しください。
なお、読んだ方もいらっしゃると思いますが、長編の筆者のインドでの弓道記を書きましたのでご興味あればご覧頂ければ幸いです。
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