よく「審査で中らなくても受かりますか?」という質問をする方がいらっしゃいますが、実際はどうなのか思われる方も多いと思います。審査規定というものがあり、そこには詳細に内容がかかれていますので審査規定に書かれているものから恥ずかしながらも弓道の称号を持っている筆者が分かる範囲で読み解いてみたいと思います。
結論:段位によって異なる(異論は認めます)
審査規定に書いてある内容は少し曖昧ですが、この点も日本文化という風に考えると理解しやすいと思います。合わせて間違いがちなのが審査に受かる基準ではなく受ける基準なので、そこが最低ラインと考えて良いと思います。
それよりも審査を受ける意義が分からないという方がいましたら以前に、その点に関してまとめたものがありますので、ご覧ください。
段・級審査の場合
審査規定を抜粋すると以下のように書いてあります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第 8 条 段・級位を受ける資格の基準は、次に掲げるとおりとする。
十段
九段 弓道の真体に透徹した者
八段 技能円熟、射品高雅、射芸の妙を体得した者
七段 射形・射術・体配自から備わり、射品高く、錬達の域に達した者
六段 射形・射術・体配共に優秀にして射品高く、精錬の功顕著な者
五段 射形・射術・体配共に法に適って射品現われ、精励の功特に認められる者
四段 射形定まり、体配落着き、気息正しく、射術の運用法に適い、離れ鋭く、的中確実の域に達した者
参段 射形定まり、体配落着き、気息整って、射術の運用法に従い、矢飛び直く、的中やや確実な者
弐段 射型・体配共に整い、射術の運用に気力充実し、矢所の乱れぬ者
初段 射型・体配型に適って、矢所の乱れぬ程度に達した者
一級 射型・体配概ね正しいものと認められる者
二級 修練の程度三級に比して著しく進歩を認められる者
三級 射の基本動作及び弓矢の扱い方がやや整い、秩序ある指導の下に修練を経たと認められる者
四級 秩序ある指導を受けており、弓矢の扱い方に進歩があると認められる者
五級 弓道修練の初歩的階層にある者
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
黄色でマークした点が的周辺に関したことですが、抽象的な表現なので、この解釈をどのように考えるかですが、言葉がステップアップしているので、審査に置き換えた時に筆者の印象だと以下の通りです。
四段 的中確実の域に達した者 → 皆中 2/2
参段 的中やや確実な者 → 羽分け 1/2
弐段 矢所の乱れぬ者 → 残念 0/2
初段 矢所の乱れぬ程度に達した者 → 残念 0/2
つまり四段以上は確実に中てていかなければならないということだと思います。
もちろんこれは筆者の解釈なのですが、規定にこのように書いてある以上は例えば四段であれば的中確実で無ければいけないということです。その中で羽分けでも合格する場合があるじゃないかという声もありますが、それは「的中確実だけどその日だけは羽分けだったね。射を見ると分かるよ」といった但し書きがあるということだと思います。
称号審査の場合
称号の場合は審査規定には以下の通りに書いてあります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(称号を受ける資格)
第 5 条 称号を受ける資格は、次に掲げるとおりとする。
範士
(1) 徳操高潔、技能円熟、識見高邁であって特に弓界の模範であること
(2) 教士の称号を受有すること
教士
2
(1) 人格、技能、識見、共に備わり、弓道指導に必要な学識、教養及び実力を有し、且つ功績顕著であること
(2) 錬士の称号を受有すること
錬士
(1) 志操堅実であって弓道指導の実力を有し、且つ精錬の功顕著であること
(2) 五段以上の段位を受有すること
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
審査規定上では段位と違い明確には的中に関しては述べられていません。ただし称号の入り口である錬士には五段以上の段位を受有することとあるので、 的中確実の域に達した者である五段受有者が受けるのであれば的中が必須になると考えられます。
ただし、要件の最後に段位や称号の受有が来ているということからそれよりも優先されるものが他にあるということだと考えられます。
錬士では指導の実力や精錬の功顕著であることというように指導面や射技・体配が十分に練られて不純物が無くなっている状態を求められており、そこが焦点になってくるということだと思います。
称号以上は的中だけではない部分の方が大きく左右されるということですね。
称号、段・級共通事項
忘れてはならないのが以下の事項です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(品位の保持)
第 2 条 称号又は段・級位の受有者は、弓道人にふさわしい品位を保つよう努めなければ
ならない。
2 称号又は段・級位の受有者にしてその品位を汚辱する行為又は本連盟結成の本旨にもとる行為があると認められる場合は、理事会の議決により称号又は段・級位を返上させ、又は剥奪することがある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
称号、段・級ともに弓道人にふさわしい品位を保つように努めることが求められるので、弓道の最高目標だと言われる真善美に背かないような振る舞いが必要だということを肝に銘じなければなりません。
まとめ:堂々と合格するような取り組みをしよう
但し書き付きで合格しても合格は合格です。そこは胸を張っていきましょう。ですが、審査を受ける前から但し書きを期待して中らなくても受かるかを考えているのではなく、自分のやってきた過程に自信を持っていけるように取り組むことが大事だと思います。
初めての階級の審査だと不安はあると思いますが、審査の合否を言い渡すのは審査員の方々で自分たちは通常の稽古の延長に審査があると考えて日々を一生懸命取り組むことが重要だと考えられます。
それでは一生懸命稽古をして審査に挑みましょう。皆さんの審査が少しでも良い物になりますようにお祈りしています。
なお、読んだ方もいらっしゃると思いますが、長編の筆者のインドでの弓道記を書きましたのでご興味あればご覧頂ければ幸いです。
↓面白かったらクリックしてくれると喜びます。
にほんブログ村
ぐっちょん
コメント